「ラーンド・ヘルプレスネス」という言葉を初めて聞いたのは、障害者虐待防止法についてのセミナーでした。
これは心理学用語。日本では「学習性無力感」「学習性絶望感」などと呼ばれます。
理不尽な経験を繰り返すうちに、「助けてもらえない」「打開できない」という無力感を“学習”してしまい、自分の困難を訴える力を失うこと。
DVや監禁などの虐待被害者らに見られる…と教わりました。
障害のある人たちに接していると、態度や言動の中に、学習性無力感に似たものをかいま見る時があります。虐待被害者ほどに深刻ではないのかも知れませんが。
理不尽を繰り返し“学習”
これまでの半生でさまざまな“壁”に直面し、そのたびに挫折したり諦めたりする経験を繰り返していたならば…ささやかな理不尽の積み重なりが、虐待にも似た“学習”をもたらすように思えます。
時間をかけて少しずつ、社会全体から受ける虐待です。
無理解や偏見、合理的配慮の欠如、制度上の不備…このような社会の“壁”は、わずかでも取り除かれ、改善されつつあると私は信じています。
ですが、すでに育ってしまった無力感や絶望感は、育った時間と同等以上の時間をかけなければ、解消はできないでしょう。