施設長の学び!現場の学び

「マイペースで」と言う時の覚悟

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「マイペースで」と言う時の覚悟

 作業は器用にこなせるけれど、しばしば体調を崩してしまう人がいます。四肢を動かすこともままならないのに、熱心に働こうとする人もいます。
 ウチの施設を利用する人たちは、障害程度も作業能力も、健康状態や勤労意欲なども、さまざまに異なります。

 また、施設を利用する理由や目的も、人それぞれです。就労への訓練のため、工賃をもらうため、生活リズムを整えるため、仲間と楽しい時間を過ごすため、などなど……。
 多様な人たちですから、足並みをそろえて作業を進めることは難しい。ほとんど不可能とも言えるでしょう。

 そこで、支援を行なう私たちは、利用者さんへ「マイペースで構いませんよ」と声をかけます。
 無理のないペースで作業に取り組むことで、経験知や達成感を着実に得てほしい。それらが積み重なり、いずれ能力や自信に育っていけば……そのように考えているからです。

 ところが、利用者さんたちの工賃は「時間給」。これはマイペースな作業に馴染みません。
 障害の重い利用者Aさんと、軽いBさん。1時間の作業で、Aさんは製品を2個作り、Bさんは10個作ります。……作業能力には5倍の差がありますが、両者の工賃は1時間分で同額です。

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生産性も工賃額も上がらない

 成果に応じて支払われる「歩合給」を採用すれば、賃金面での「平等」は実現するでしょう。製品を2個作ったAさんと、10個作ったBさんに、個数による賃金差が生じるからです。
 しかし、歩合給の採用は許されません。同じ仕事をする労働者には同じ賃金を支給しなければならないという「同一労働同一賃金」の遵守を、行政が求めるからです。

 利用者さん個々の障害程度に合わせ、異なる作業を用意できるならば、時給であっても公平性が成り立ちそうです。
 異なる作業を用意できなくても、障害程度が同じ人を集められるならば、やはり時給に不平等は生じないかも知れません。

 しかし、ウチのように経営規模の小さな施設では、多種多様な作業を用意することなどできません。
 利用する人たちの選別もできません。それは本来、福祉施設としては避けるべきでしょう。

 マイペースな授産作業は、利用者さん個別のニーズに対応できます。
 半面、マイペースであれば生産性は上がりません。よって工賃額も上がりません。

 矛盾を感じ、悩むこともあります。
 私たちが「早く」「急いで」などの言葉を飲み込んで、利用者さんに「マイペースで構いませんよ」と言う時、胸の奥には、ある種の覚悟を抱えています。

Free Stock photos by Vecteezy

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