ノンフィクション天竺堂の本棚

草の根的なセーフティーネット 『「山奥ニート」やってます。』

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『「山奥ニート」やってます。』

 山奥で共同生活するニートの集団「山奥ニート」の実態が分かるノンフィクション。

 和歌山県の山中には、全国から集まったニートたち15人が、小学校だった木造校舎で暮らす限界集落がある。
 農家の手伝いなどで日銭を稼いだり、グループのゆるいルールに従って炊事や雑用をする以外は、個々に好きなことをして過ごす生活。インターネットにはブロードバンドでアクセスできるし、アマゾンなどの配送サービスも受けられるので、大きな不便はないらしい。数人しかいない高齢の地元住民からは、おおむね歓迎されてる模様。
 生きづらさを抱えてニートになった彼らには、理想的な居場所だろう。

 資本主義に代わる社会体制の萌芽とか、地方創生の新たな形みたいにも思えたけど、本質的には違うかも。
 彼らのライフスタイルは、既存社会に頼ることで実現していて、そのことを当人たちが認めてるから。

 誰だって生きづらさを抱え込む局面はあり、だから誰だってニートになり得る。
 実家に戻って就職した“元・山奥ニート”は、「ダメなら山奥に戻ればいい」との思いを“保険”にしてるそうな。
 社会における草の根的なセーフティーネットとして、山奥ニートたちの活動は評価できそう。

 大学時代に教育実習で挫折し、ニートになったという著者は、教師志望だっただけに文章表現が達者。面白く読めました。

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