白洲正子による、工芸職人へのルポルタージュ。元は『藝術新潮』の連載だったらしい。
染織や木工、陶芸などの分野で、高い技術を発揮し、確かな実績を残してる人材を紹介。
有名な巨匠もいれば、無名の才人もいる。石工や刺青師など、現代社会の“表舞台”に出なくなった人々もいる。
共通するのは、著者が“一流”と認めた職人であること。そんな切り口で読んでみても面白い。
良し悪しや是非について、著者は物言いがはっきりしてる。
半面、職人たちの地道な努力や工夫、こだわりなどを、しっかり汲み取ってもいる。
感心するだけではないし、批評するだけでもない。鋭い審美眼と、職人たちへの敬意、両者のバランスがちょうど良いカンジです。
もうひとつ、本書では明晰な文章も特徴的。
何ともサッパリとした読み味で、「著者自身そんな人柄だったのでは?」と思えてきます。