幽霊屋敷をめぐる連作短編。全10話。
同じ屋敷を舞台に、語り手や年代、趣向など、それぞれ異なってる。凝ったホラー小説。
著者は「家という“枠組み”に幽霊が留まるのはどうしてか?」みたいな疑問を抱いてる模様。
その答を、書きながら模索してるカンジがする。
読み始めは実にスリリング。ところが、ページをめくっていくうちに、予想外の方面へ連れて行かれる。で、どこか釈然としない気分のまま、放り出されてしまう。
恩田作品らしいと言えば、らしい一冊。
読み手を怖がらせることが狙いではなさそう。
幽霊屋敷というものを、さまざまな切り口で描いてみたかったんじゃなかろうか?
読後に「毎夏叩き潰してる蚊の幽霊はいないのか?」「埋葬地ではなく死亡現場に幽霊が出るのは何故?」なんてことを考えてしまいましたw