障害福祉分野で働いている私ですが。
異なる分野の福祉専門職から、学びや気付きを得ることも少なくありません。
先日、社会福祉士会の研修で、児童養護施設の職員さんとご一緒する機会がありました。
その人は、施設の相談支援専門員。子供たちへの直接支援の経験も長く務めてきたというベテランです。
「あなたはフリカケをいつご飯にかけますか?」
そう専門員さんに問われ、私は返答に詰まってしまいました。これまで考えたこともなかったからです。
“家”としてのまとまりをどう生み出すか
児童養護施設の食堂で、ご飯にフリカケをかけようとしている子供がいます。
職員Aは、「いただきます」の直後にフリカケをご飯にかける子供を、無言で見守っています。
職員Bは、「フリカケをかけるのは、オカズを食べてしまってからにしようね」と指導します。
職員2人の異なる対応に、子供は迷い、混乱するかも知れません。将来、フリカケをかけることをためらうようになってしまうことも考えられます。
「職員たちの対応が間違っていた訳ではなく、おそらくは彼らの家庭での“流儀”に従っただけでしょう。それに、子供たちの方も、施設に来る前に身に着けている“流儀”があるはずですし」と専門員さん。「フリカケはささいな事例ですが、このように多様な“流儀”がせめぎ合う中で、みんなで暮らす“家”としてのまとまりをどう生み出すのか、いつも苦心しています」
私たちの言動は、常識と思い込んでいる“流儀”に、実は大きく影響されているのです。
自分の常識を疑うこと。互いの“流儀”を尊重すること。…これらの大切さを教えられました。
photo credit: Kake . Home-made mackerel furikake via photopin(license)