私は今春、日本社会福祉士会が実施している基礎研修を修了しました。
この研修は、社会福祉士の資質向上を図る生涯学習制度と、向上した資質を担保する認定社会福祉士制度の、スタート部分に当たります。
基礎研修を修了しなければ今後、上級者向けの研修を重ねていくことができず、認定社会福祉士にはなれません。
資格を取得したばかりの、比較的経験の浅い“若手”が受けるべき研修とされます。
ところが、実際に机を並べて受講したのは、30~50代の中堅やベテランばかりでした。
浅学非才な私でさえ、資格取得から数年を経ている40代。とても若手とは呼べません。
若手向けの研修に、年配者ばかり集まるのは何故でしょう?
社会福祉士の実態に合っていない
修了までを振り返ってみた私は、基礎研修の仕組みが、社会福祉士の実態に合っていないように思えました。
現時点での基礎研修は、8科目10単位が3段階に分けられており、これを3年かけて学びます。研修Ⅰから始め、全国の各支部が行なっている集合研修への出席や、リポートの提出などを経て、研修Ⅱ、研修Ⅲと進んでいきます。
集合研修やリポート提出は年数回行なわれており、ひとつでも落としたら“留年”です。落とした研修やリポートは翌年に参加・提出しなければ、次の段階には進めません。
厳しいことに、再挑戦できる機会は翌年のみ。また落としてしまうと、研修Ⅰに戻ってやり直すことになります。
社会に出たばかりで仕事に追われているような人たちには、いささか荷が重い気がします。
多くの場合、福祉専門職のキャリアは、施設の現場支援員あたりから始まります。若手職員は立場上、休日出勤を求められたり、勤務をずらしてもらいにくい場合が多いため、機会が限られている集合研修を落としやすいのです。
こうして、若手は参加を敬遠。あるいは、参加しても途中で挫折してしまう。
半面、比較的時間に余裕があったり、スケジュールの融通が利かせやすい、中堅やベテランが増えるのです。
私は基礎研修を2度留年し、5年かけて修了しました。
各分野で経験を積んでいる人々が多かったおかげで、個人の意見や体験に触れられるディスカッションやワークなどは、実に刺激的でした。社会福祉士会の目的に合っていたのかどうかは分かりませんが。
photo credit: george.bremer The Road Ahead via photopin(license)