施設長の学び!現場の学び

工賃は何を反映しているのか?

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工賃は何を反映しているのか?

 ウチの施設が加入している、小規模な福祉作業所で組織するローカルな団体。
 先日、施設長(管理者)らによる会合に出席したところ、互いの近況報告の中で、「利用者さんたちに工賃額をいくら支払えているか」が話題になりました。

 すると、A作業所の施設長さんが「先々月から工賃額が3倍以上になってまして」。
 周りは就労移行支援B型事業に取り組んでいる関係者ばかりですから、「それは素晴らしいですね!」「新事業でも始めたんですか?」「秘訣を教えて下さいよ」などと、しばし騒然となったことは言うまでもありません。

 発言とはうらはらに、その施設長さんは浮かない表情です。嬉しそうに見えない。
 事情を訊いてみたところ、なるほど確かに、手放しで喜べるような状況ではありませんでした。

 A作業所では、地元の行政から委託を受け、公文書の集配を行なっています。
 職員が運転する集配車に利用者さんが同乗し、役所や公的機関を巡回、書類や配布物などを受け渡す作業。代金は年額で支払われ、それをA作業所が月給として利用者さんに分配しています。

 ところが、4カ月ほど前から、利用者さんたちの退所が相次いで発生。家庭の事情や、持病の悪化など、理由はそれぞれ。数カ月のうちに、利用者さんが半数近くも減少してしまいました。
 利用者さんが少なくなれば当然、1人当りの“取り分”が増えます。…工賃額が急増した背景には、このような事情がありました。

 集配車に同乗する利用者さんたちの役割は、書類などの積み下ろしを手伝うこと。「集配作業は職員だけでも充分できるんですけどね」と施設長さんは、どこか寂しそうな、申し訳なさそうな口調で言うのでした。

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大部分を職員やボランティアが担っている

 この時の会合では、工賃や授産作業についての話が、他にも続出。さながら“事例検討会”の様相でした。

 地元の墓園から清掃作業を受託し、定期的に墓石磨きや除草などを行なっているB作業所。
 お盆を控えた夏場には、利用者さんの熱中症が懸念されるため、職員たちが早朝に出てきて作業をしているそうです。

 利用者さんによる手織りの布を、ボランティアスタッフがポーチなどに縫製し、販売しているC作業所。
 高齢を理由に縫製スタッフが辞任し、新たなボランティアが見付からないため、織り布だけが生産され続ける事態におちいっているそうです。

 さまざま作業所が、さまざまな授産事業によって、まとまった工賃を確保すべく頑張っています。
 それら個々の取り組みにおいて、得られた工賃の“内実”を見ると、大部分を職員やボランティアが担っている場合が少なくない。中には、利用者さんが関与しなくても、まとまった収入が得られてしまう事例も見られます。

 個々の授産事業の是非については、ここでは触れません。利用者さんの“幸せ”が、授産事業で生み出される工賃と、必ずしも一致している訳ではないからです。
 支払われる工賃が少額であっても、利用者さんたちが「毎日の作業がとても楽しい」「ここで私は必要とされている」と心から思っている、そのような作業所は数多くあります。

 現時点の法制度では、支払われている工賃額の平均値が、その福祉作業所の運営費に影響する仕組みです。工賃を作業所のインセンティブにしたいという、行政側の狙いは理解できます。
 しかし、授産事業の合理性や、事業所の質的な優劣は、工賃額だけでは分からないのです。

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