村上春樹の紀行文集。
やや過激なタイトルにも思えるけど、これはベトナム経由でラオスに入る際、著者がベトナム人から訊かれたことだと。「ラオスにあるものはベトナムにもあるけど、その逆は無い。なのに、わざわざ行くのか?」とのニュアンスが含まれてたらしい。
しかし、やはりベトナムに無いものがラオスにはあったそうな。
世界中のいろんな情報が手軽に入手できるようになって、私たちは何に対しても「もう知ってる」「どこかで見た」みたいな感じを覚えてしまう。
「そこにしか無いもの」を認識する“感度”が鈍ってるとも言えそう。
著者みたいに、モノゴトを自然体で受け入れ、素直に驚き戸惑い納得し、自分の言葉で“消化”できるようになりたい。
著者みたいに、世界各地を旅行する機会とは無縁だろうけど。
意外に楽しめたのが、巻末の熊本紀行。
自分(熊本県民)の身近にある場所で、著者がどこに注目し、どんな感想を抱いたのかが興味深かった。
知らない土地の紀行文も面白いけど、知ってる土地の紀行文も面白いものです♪