天竺堂の本棚小説

往年の“ウルフガイ” 彷彿させるヒーロー 『月の王』

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『月の王』

 伝奇アクションの古典的名作である平井和正『ウルフガイ』作品群の、インスパイアみたいなオマージュみたいな、活劇たっぷりの娯楽小説。

 主人公は驚異的な身体能力の持ち主で、月齢に合わせて強くなるという、その名も大神明(おおかみあきら)だと(!)。
 戦前の上海を舞台に、やんごとなき令嬢を守って、武闘集団と大立ち回りを演じる。中国拳法の達人とか、軍の強化人間とか、野獣への変身とか、ウルフガイ(ヤングの方)を彷彿とさせるアレコレが楽しいぞ。
 半面、主人公のキャラクターとしての造形は、冷淡で傲慢で嫌味なところが、平野耕太『HELLSING』のアーカードっぽい。いささか好みが分かれそう。

 この先も続くとしたら、よりウルフガイ的になるのか、オリジナリティが増すのか…?

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