障害福祉サービスにおいて欠かせない、個別支援計画。
文字どおり、支援対象者それぞれの意思や状況などを盛り込んだ、支援についての計画です。
福祉の支援とは、“施設”で一律に行なうものではなく、“利用者”に個別的に行なうものでなければならない。
そのような福祉のセオリーを、個別支援計画は示しています。
先日、個別支援計画を扱う専門職の研修に参加しました。
座学に加え、計画策定のグループワークや、計画提示のロールプレイが盛り込まれていました。
私が加わったグループでは、個別支援計画の書面を、ほとんどをひらがなで書くことに。
グループのメンバーから出た「できるだけ相手に分かりやすいものにしよう」「ルビ付きの漢字はかえって見にくい」との意見を容れたのです。
ひらがなに“目線を下げる”作用
研修では、グループワークで作った計画書を、ロールプレイによる模擬面談で利用者に提示します。
これは別グループとの“対抗戦”。グループごとに、サービス管理責任者(サビ管)ら“提示する側”と、利用者や家族ら“提示される側”に分かれ、役割を交代しながら行ないました。
模擬面談が終わり、私たちはロールプレイの感想を話し合いました。
すると、メンバーのひとりが「相手グループは、説明する口調が硬く、言葉遣いも難しそうに感じられた。反対に、私たちのグループは、優しく分かりやすく話そうという姿勢がうかがえ、好ましかった」。
私も同様の感想でした。例えば、相手グループが「友人」「支援」などと言っていたところを、私たちのグループでは「ともだち」「てだすけ」などと言っていました。
サビ管の役割を務めたメンバーは、ロールプレイを振り返って「個別支援計画を提示する際、不思議なことに、柔らかでゆっくりとした口調になった」。
また、私たちが作製した個別支援計画書を、他グループの計画書と見比べてみたところ、文章表現が平易に噛み砕かれていることも分かりました。
ひらがなを多用した文章には、読み書きする際に“目線を下げる”作用が生じるようです。
とは言え、ひらがなを多用すれば良いという訳ではないことも、また確か。
「文字や文言への配慮を、利用者によっては『子供扱い』『見下している』などとネガティブに捉える可能性もあるだろう」と指摘したメンバーもいました。もっともです。
大切なのは、「相手に分かってほしい」という気持ちを、計画書に反映させることでしょう。
ひらがなやルビ、文章表現などは、こちらの真摯な思いに沿って、自然に現れてくるのかも知れません。
振り返って、ウチの計画書はどうあるべきか…と考えるきっかけになりました。