福祉作業所の製品を扱っている某セレクトショップ。私はしばしば訪れます。
ウチの製品を置いて下さっている関係もありますが、よその作業所の製品に触れることで、多くの学びや刺激が得られるからです。
近ごろ目を引くのは、作業所の利用者さんたちによる絵や文字を、既成のTシャツやトートバッグ、文具、食器などにプリントした製品。
どれも楽しいものばかり。売れ行きもよさそうです。
印刷技術の向上と普及により、利用者さんの“創作”をプリントしたグッズを、比較的手軽に製造できるようになりました。
この場合、施設側に必要とされるのは、利用者さんの創作を促進する環境づくりや、製品化に適した創作を選び出すセンスでしょうか。
製品化に適さないと判断されたものは、どうなるのだろう…?
カラフルなプリント製品を手に取るたび、いつも私は、そこが気になってしまいます。
20枚あるなら、すべてを製品に
例えば、ユーモラスなカエルがプリントされたマグカップ。
これ1個のために、利用者さんは何枚も、あるいは何十枚ものイラストを描いたことでしょう。
マグカップのカエルが、頑張って描いた20枚のうちの1枚とすれば。
使われなかった19枚は破棄されたのか? そのような事情を利用者さんは知り、納得しているのか?
ウチの施設では、今のところ、プリント製品は作っていません。施設長の私自身が、今ひとつ納得できないものを覚えるからです。
「たとえ安価であっても、販売できる製品を作ろう」「利用者さん個々の労働を、できるだけ価値に変えていこう」私はそう思っており、職員たちにも伝えています。
無償や廃棄を前提にはしたくない。20枚あるなら、20枚すべてを製品にしたいのです。
3000円で売れるマグカップのために19枚のイラストを廃棄しても、20枚のイラストを1枚150円で売っても、売り上げは同額。
にも関わらず、マグカップ1個を確実に売ることと、20枚のイラストを売り切ろうとすることを比べれば、明らかに前者が効率的です。
私は“甘い”のかも知れません。商才に欠け、合理的で現実的な判断ができていないのかも知れません。
ウチの施設には現在、貼り絵に取り組んでいる利用者さんたちがいます。
どのように売るべきか…素朴な力作の数々を前に、私は考え込んでしまうのです。
photo credit: verchmarco Basteln – Eine Schere mit buntem Papier – Weihnachtsbaum-Auschnitt via photopin(license)