天竺堂の本棚知識・教養

貧困問題など考察 ベーシックインカム推奨 『隷属なき道』

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『隷属なき道』

 資本主義社会が抱える貧困などの問題に、オランダのジャーナリストが切り込んでる本。

 国家による国民全員への保障所得「ユニバーサル・ベーシックインカム」の導入を、強く推奨してる。
 欧米やアフリカなどでの社会実験で、生活困窮者らに現金を渡してみたところ、犯罪や家庭内暴力や小児死亡率が減少、就学率や所得などは向上したそうな。

 一般的には「自由に使える現金を渡したら、働かないで酒とかギャンブルに散財するのでは?」なんて危惧されがち。
 だけど、経済的に困窮すれば誰だって、“食費の捻出”や“今月の返済”みたいな直近の心配事に気を取られ、長期的な展望なんか描けなくなる。心理学者らの実験によると、貧困によってIQは13ポイントも低下するという。
 しばしば「貧しい人々は怠惰だ」「怠惰だから貧しくなるのだ」と見られやすいけど、貧困が認知能力を奪ってしまう側面を無視して“自己責任”と断じるのは間違ってる。

 著者は「お金に関して重要なのは、自称専門家が貧しい人々にとって必要と考え用意したものではなく、当事者が自分にとって必要なものを買うためにそれを使えるということだ」と訴える。

 それに、就業支援や金銭敎育みたいな福祉システムに人材や費用を投入するより、現金を直接給付する方が、はるかに安上がりらしいぞ。

 また著者は、AIやロボットが高い生産性でもって人間の職域を脅かすのであれば、むしろ大幅な時短とワークシェアリングを持ち込み、機械によって得られる富は再分配すべきと主張。さらには、全世界の貧困を一掃する方法として「国境を開くこと」を提言する。
 さまざまな研究やデータ、実験結果が援用されており、大胆だけど説得力あります。

 あとは、施政者たちが旧来の固定観念や偏見から脱してくれることを願うばかりw

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