「理屈じゃないんですよ、これが」「教えたくても教えられるものじゃなくてね」
社長さんたちの多くが、こんなことを言います。経営規模の大小に関わらず、自ら先頭に立って業績を伸ばしている人びとです。
福祉施設の施設長を務める私は、これでも経営者の端くれ。企業経営や組織運営について学ぼうと、経営者の団体に加わり、先達の体験談などを聴くようにしています。
それでも、口々に「理屈じゃない」と言われると、何を学ぶべきなのか分からなくなってしまいます。
戸惑いを覚えていた時、私は「『理屈じゃない』からこそ理屈が大切」と聞きました。
ある経営学者の言説です。
“輪郭”を与えて検証する
人間の考えや行ないには「理屈で説明できること」と「理屈では説明できないこと」があります。
前者は理論や法則ですから、学ぶことができます。後者は偶然や直感ですから、学ぶことができません。
成功事例であっても失敗事例であっても、それらには「理屈で説明できること」と「理屈では説明できないこと」の両者が含まれています。
と言うことは、理論や法則を学ぶことによって、その事例のどこが「理屈で説明できること」で、どこが「理屈では説明できないこと」かが分かります。“輪郭”を与えて検証することができるのです。
「理屈では説明できないこと」も大切でしょうが、こればかりは、さまざまな経験を重ねて“人間力”あたりを高めていくしかなさそうですね。
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