某福祉団体の機関紙を読んでいて、興味深い記事を見付けました。
障害者授産施設が取り組んでいる事業について、基本的な考え方や、しばしば陥りがちな悪いパターンなどがまとめてあったのです。
団体に加盟している授産施設を対象に、経営コンサルタントが調査・分析を行なったもの。
企業経営向けのノウハウが福祉分野に応用されているらしく、示唆に富む内容でした。
理想的な事業には「理念」「能力」「需要」の3要素がそろっているそうです。
理念とは「何のために行なうのか」という経営側の想い、能力とは利用者さんたちの作業能力、需要とは製品やサービスの顧客ニーズです。
これら3要素に偏りがあると、事業は円滑に進みません。
能力はコントロールが難しい
理念に偏った「想い先行型」。顧客ニーズも作業能力も無いのに、経営側の想いだけで事業を無理に進めようとしている状態です。
能力に偏った「惰性型」。できる事業を無目的に行なっているだけで、理念は無く(あっても現場に浸透しておらず)、顧客ニーズも無い状態です。
需要に偏った「請負型」。顧客ニーズを受けて事業に着手しているものの、理念は無く(あっても現場に浸透しておらず)、作業能力も不足している状態です。
また、理念と需要があっても、能力が欠けていると、職員たちだけで事業をこなそうとする「現場過負担型」に陥るとのこと。
理念は経営側の取り組み次第ですし、需要は地域社会への観察で見極めるものですから、努力によって偏りが正せるかも知れません。
ですが、能力はコントロールが難しい。働く人たちの心身が不安定であることを承知で引き受けている以上、仕方のないことではありますが。
現場過負担型の授産施設は少なくないのですが、理由が分かったような気がします。
ひるがえって、ウチの施設はどうか…と改めて考え込んでしまいました。
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