私の実弟はダウン症。現在42歳です。
暮らしぶりは穏やかですが、心身の衰えにはいちじるしいものがあります。
加齢による衰えは、他の利用者さんにも見られます。
ウチの施設は、設立して20年以上。利用を続けて中高年に至った人もいますし、中高年になって利用を始めた人もいるのです。
私の手元に『50歳からの支援 認知症になった知的障害者』という冊子があります。
群馬県高崎市の国立重度知的障害者総合施設「のぞみの園」が作成・配布しているものです。
性別や障害程度などが異なる、8人の事例を紹介。
それぞれの認知症にともなう心身の変化や、支援のポイントなどが挙げられています。
「元々そうである」状態を把握する
世界有数の長寿国である日本。知的障害者の寿命も伸びており、認知症になる人も目立つようになってきたそうです。
しかし、知的障害者の認知症は、健常者に比べて見付けにくいとのこと。
当人の認知の低下が、元来の知的障害によるものか、新たな認知症によるものか、その見極めが難しいからです。
冊子には『知的に障害がある人のための認知症判別テスト(日本語版DSQIID)』が付属。
「夜になると混乱する」「独語がある」など多数の調査項目において、「元々そうである」から「該当しない」までの4段階でチェックし、認知症の有無を推察する仕組みです。
有益な冊子であっても、利用者さんについての詳細な情報が無ければ、活用はできません。
「元々そうである」状態を把握する、日々の地道なアセスメントが、衰えていく利用者さんを支えるのです。
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