「ないものねだりをやめて/あるものさがし ~地域を元気にする地元学のすすめ~」と題する講演を聴きました。
講師の吉本哲郎氏は、熊本県水俣市の市職員として公害問題や地域活性化に取り組んできた人物。水俣病資料館館長などを経て、現在の肩書は「地元学ネットワーク主宰」です。
この地元学は、地域興しの一環として全国各地に展開、中でも水俣市での成果は広く知られています。
おおむね、住民主体で「歴史や風土、特色などを学びながら、地域の将来を展望する」「地域が本来持っている“力”を見付け、引き出す」などの、学びと実践を指すようです。
水俣病患者だった故・杉本英子さんの「人様は変えられないから自分が変わる」という言葉。
これを受け、吉本氏は「世間は変えられないから水俣が変わろう」「変えるために水俣という地域を知ろう」として、地元の人たちと奔走。こんにちの“環境都市・みなまた”につながる行動の数々が、地元学に結実したそうです。
「知る・調べる」「考える」「役立てる」
吉本氏によると、地域の“元気づくり”に必要なことは、「知る・調べる」「考える」「役立てる」のサイクル。
地域について深く学び、足元にある「良いもの」「悪いもの」「よそに無いもの」「どこにでもあるもの」「困っているもの」「余っているもの」などを把握。それらを改良したり改変したり組み合わせるなどの試行錯誤を重ね、地域のために役立てられる新たな形を目指すのです。
併せて、地域外からの協力を得ることや、実利をもたらす仕組みであることも、大切な要素とされます。
私が聴いたのは、企業家団体のイベントでの基調講演でした。地元学は企業経営にも有効と捉えられているのです。
そうであれば、施設運営にも有効なはず。私たちが足元に目を向け、施設の「あるものさがし」に努める…そのような“施設学”を展開したいものです。
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