お金をもらって嬉しくない人はいないはず。私も嬉しい。あなたも嬉しい。施設の利用者さんも嬉しい。
ウチは工賃額が誇れる施設ではないのですが、それでも毎月の工賃日には、受け取った利用者さんたちの顔に笑みが拡がります。
ところで、“お金をもらう”とは、何を意味するのでしょう? さらに、“お金をたくさんもらう”とは、どのようになることなのでしょう?
疑問が浮かんだのは、ある施設長さんの体験談がきっかけです。
「工賃が少ないと、利用者さんは自分が欲しい物しか買いません。しかし、工賃が増えると、家族へのプレゼントなども買うようになるのです」
心を育む“肥料”として
自分の欲求が満たされる嬉しさがあります。
一方で、他者を喜ばせることで覚える嬉しさもある。この感覚は、他者を喜ばせて初めて理解できるのかも知れません。
工賃について、しばしば私たちは“自立”をキーワードに据えて考えます。
ですが、自立とは異なる観点からも、工賃の意義を捉えることはできるのです。
心の豊かさは金銭で買えるものではありませんが、心を育む土壌において、金銭は“肥料”として作用するようですね。多すぎると土壌を傷めてしまう…という意味でも。