発達障害のある人たちが直面する“生きづらさ”。
これを自分のことのようにイメージすることは、支援者であっても難しいかも知れません。障害特性が比較的分かりにくいからです。
先日、発達障害に詳しい小児科医の講演を聴きました。
この医師は、さまざまな事例や比喩を持ち出し、発達障害がもたらす困難さを説明してくれました。
誰にでも「できること」と「できないこと」があります。
発達障害のある人は、両者の差がとても大きい。「頑張らなくてもできること」と「頑張ってもできないこと」が、個人の中に同居しています。
本質は能力のアンバランスにある
「頑張らなくてもできること」は、おおむねほめられます。けれど、達成に感動が伴わないので、当人はほめられても嬉しくありません。
「頑張ってもできないこと」は、しばしば叱咤されます。ところが、克服が難しいため、当人は無力感や挫折感を抱きやすくなります。
ほめられても喜べず、叱咤されると折れてしまう…。
「このような経験が重なると、努力することをネガティブに受け止めるようになってしまいます。発達障害の本質は、能力のアンバランスにあるのです」と医師。
当事者の“生きづらさ”について、私はイメージするきっかけが得られたように思います。併せて、ほめたり叱咤したりする関わり方を再考するきっかけも得られました。
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