以前に書いた『“生きづらさ”をイメージする』の続きです。
私が聴いた、ある小児科医の講演。発達障害がもたらす困難さについて、ユニークで分かりやすい説明がなされました。
「発達障害の本質は、能力のアンバランスにある」と言う医師。それは実際、どのような状態なのでしょう? どこに障害が生じるのでしょう?
医師は、AちゃんとBちゃん、2人の幼児に例えました。
Aちゃんは5歳。ところが、両脚の発達は3歳レベルです。
Bちゃんも5歳。こちらは、右脚の発達が6歳レベルで、左脚の発達は8歳レベルです。
まとまりや安定が欠けている状態
通常の5歳児に比べ、Aちゃんの歩行は、やや遅くなります。
一方、Bちゃんの両脚は通常以上に発達しているものの、左右で差があるため、正しく歩くことは困難です。
歩行を知性に置き換えた場合、Aちゃんは知的障害、Bちゃんは発達障害に当たります。
2人とも、歩行に問題があるところは共通しているけれど、問題の質は異なります。
特にBちゃんの場合、通常以上に発達している部分があるにも関わらず、かえって全体のアンバランスを招き、それが困難となっている訳です。
医師は「私たちが実力を発揮するためには、個々の能力がまとまり、安定していなければなりません。生きづらさは、まとまりや安定が欠けている状態で現れます」と語りました。「当事者の困難さを理解し、寄り添って支援するためには、その人の得手不得手…つまり、特性を知ることが不可欠なのです」