福祉作業所を運営しているので、私は福祉専門職でもあり、経営者でもあります。
先日は経営者団体の勉強会に参加し、経営の「戦略」「戦術」などについて学びました。
企業経営は“生存競争”にも似た戦いとして捉えられることから、しばしば戦争の用語が使われます。
勉強会では、経営上の戦略とは「負けない体質をつくること」、戦術は「与えられた条件の元で勝つこと」と定義されていました。
納得できるところは多いのですが、そのまま福祉に当てはめる訳にはいかないようです。
経営の目標として、例えば「他事業所を圧倒して地域シェアでトップになる」や「福祉サービスの経費を抑えて利益率を上げる」などと掲げるのであれば、“事業”ではあっても“福祉”とは言えません。
福祉事業において、“敵”や“勝敗”は何に相当するのでしょうか?
共存共栄を前提に
私の素朴な疑問には、中小企業での考え方が、解答として近いように思えます。
人口減少社会の到来を前に、国内の中小企業では、“共存共栄”を図る方向へシフトしつつあるそうです。
共存共栄を前提にするならば、打ち破るべき対象は“壁”と定義されます。
事業を進める上でクリアしなければならない、大小さまざまな課題のことです。
「日々直面する課題を処理すること」が戦術で、「将来予想される課題に備えること」が戦略となります。
ウチの施設の近隣に、“同業者”による大きなA施設が建つとします。
“敵”と捉えるなら、私は「利用者がA施設に移籍しないよう、どう引き留めるか?」などと考えるでしょう。
“壁”と捉えるなら、私は「A施設で対応できない、利用者のニーズは何か?」などと考えそうです。
ウチの施設は将来、どのような課題に直面するのか…経営戦略を練る前に、そのあたりから考えているところです。