キャンパスソーシャルワーカー(CSW)とお話しする機会がありました。
大学に所属し、学生たちを対象に相談支援を行なう、ベテランの社会福祉士です。
日々持ち込まれる問題は、勉学から恋愛まで、実にさまざま。
近ごろは、学費や生活費など金銭に絡む問題や、発達障害のある学生からの相談などが、目立っているそうです。
CSWによると「扱うケースの中には、生育歴や家庭環境に起因するような、複雑だったり、根が深かったりするものも少なくありません」。一筋縄ではいかない、根気や忍耐を要する事例ばかりのようです。
「それでも、CSWを訪ねて来てくれた、そのことに希望が見出だせます。学生に『苦しい現状を打開したい』『幸せになりたい』という明確な意思があり、行動を始めているからです」
「門をたたきなさい。そうすれば開かれる」
ふと、聖書の有名な言葉が浮かびました。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。門をたたきなさい。そうすれば開かれる」(マタイによる福音書7章7節)
私はキリスト教の信者ではないのですが、真実が言い表されている一節に思えます。
クライエントに解決への意思が無ければ、どんなに軽微な問題でも、事態は改善しないでしょう。
逆に、どんなに重篤な問題でも、クライエントに解決への意思と行動があれば、すでに事態は改善に向かい始めているのです。
援助を求めることは、そのクライエントの“強み”と言えます。支援を進める際、CSWはそこに着目していました。
また、CSWは「本当に困難なケースは、訪ねて来ない学生たちの中にある」とも述べていました。“求めない者”にも目を向ける、福祉専門職としての姿勢がかいま見えた気がしました。