ほめることの効能について、これまでに何度も書いてきました。
福祉の支援現場において不可欠な技法であり、技法を超えた“心構え”とも言えそうです。
「ほめる時は、できるだけ具体的に」これは先日の研修で聞いた言葉です。
どうすれば具体的にほめたことになるのか? どうして具体的にほめなければならないのか? …分かりやすく教えてもらいました。
例えば、任された作業を、利用者さんが完了した場合。
「頑張りましたね」ではなく、「◯◯個みんなできましたね」などとほめます。
例えば、利用者さんの作業に、質的な向上が見られる場合。
「上手ですよ」ではなく、「◯◯さんと同じくらい良くできてますよ」などとほめます。
数値やモデルなどを挙げ、そこに肯定的な評価を加えるのです。
見過ごされる、言外のニュアンス
知的障害、特に自閉症スペクトラムの人たちには、“想像性の障害”があります。
そのため、しばしば言外のニュアンスが見過ごされてしまう。「表現されていないことへの期待」や「真の意図」などを理解してもらうことが難しいそうです。
具体的にほめなければ、こちらの真意が伝わらなかったり、誤解されることにもなりかねません。
研修ではもうひとつ、「肯定的にほめる」が強調されていました。
ほめているのに否定的…つまりは、皮肉や逆説のようなレトリックは禁物ということです。それこそ、誤解を招いてしまうでしょう。
具体的に、そして肯定的に。
つくづく思うのですが、“ほめる”とは奥深い技法です。
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