水戸光圀の生涯を描いた歴史小説。
隠居の身である光圀が、重臣を殺害するという、謎めいた場面で始まる。
そして物語は少年時代までさかのぼり、傾奇者だった青年期から、文事に励む壮年期、歴史書『大日本史』編纂事業への着手を経て、また冒頭の場面に至る。
重臣殺害の理由には、驚きつつも感心。後世の大政奉還にまでつながっていく壮大さがあるぞ。
重厚にして読み応えたっぷり。
剣豪・宮本武蔵のほか、『天地明察』の渋川春海がゲスト出演してるぞ。
ちょっと興味深かったのは、公家の文化人から“文芸の極地”みたいなものが明かされるエピソード。
そこでは、内容の芸術性よりも、作文の超絶技巧が「凄い」とされてる。「何が書かれてるか」ではなく、「どう書かかれてるか」を重視する価値観。
確かに凄いんだけど、思わず「そっちかい」なんてツッコミたくなりましたw