天竺堂の本棚小説

政治に翻弄されるスーパーヒーローたち 『完璧な夏の日』(上・下)

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政治利用されるスーパーヒーローたち 『完璧な夏の日』(上・下)

 アメコミ風のヒーローたちが、本格スパイ小説の舞台で活躍するという異色作。

 第二次大戦前、ドイツの物理学者が行なった実験の影響で、世界中に超能力を持つ者が出現。霧を操ったり、物体を消滅させたり、猛獣に変身したり、氷を出現させたり…。
 そんな超人たちを各国政府は、スパイに仕立て、プロパガンダに利用し、戦場に送る。

 『ウォッチメン』との類似が指摘されてますが、むしろ『ワイルドカード』(復刊&続刊希望!)じゃないかな。

 いくらでも派手に動かせるはずのキャラクターたちを、あえて地味に人間くさく扱ってるところが、個人的には好きです。
 超人たちを各国が軍事利用しても、相殺し合ってパワーバランスは変わらず、歴史に影響を及ぼすことはない…みたいな、アメコミ的なノリを踏まえてのシニカルな描き方も魅力的。

 根っこにあるのは“時代を超えたラブロマンス”なんだろうけど♪

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