富樫倫太郎の『軍配者』シリーズ最終話(?)。
戦国時代に関東の最高学府だったという足利学校の学友3人が、それぞれに有力武将の軍配者(フリーランスの軍事専門家)となり、戦場で火花を散らす物語。
本作の主人公は、長尾景虎に仕えた宇佐美定行(冬之助)なんだけど、天才的な武将だった景虎のそばではイマイチ活躍できてない感じ。軍配者というより、才能のままに戦う景虎の“観察者”っぽい位置付けか。
真の主人公は、どうやら信玄に仕えた苦労人・山本勘助(四郎左)らしい。川中島での4度の合戦を経る間、子宝を授かったりして生きる喜びを噛みしめる様子などが、丁寧に描いてある。
最後の最後には、軍配者3人の運命が絡み合い、完結編らしい叙情的な幕切れに。
それにしても、合戦についての解説や描写が、この著者は実に巧みです♪