池上永一の長編小説。
第二次大戦末期、沖縄の大空襲を生き延びた主人公・知花煉が、移民として南米ボリビアに渡り、たくましく生きる姿を描く。…というだけに終わらない、とてつもなく濃密な物語。
移民たちの苦難の開拓史、ボリビアの風土や文化、ゲバラらが起こしたキューバ革命、アメリカとソビエト連邦による“冷戦”、沖縄の米軍基地問題…。
これらを背景に、豪胆で勝気で明敏で活発で美しいという“池上印”のヒロイン煉が、異国でひと旗揚げるべく、破天荒な大活躍を見せる。
熱量あふれる冒険活劇としてグイグイ読めるんだけど、沖縄の戦後を見つめる著者の厳しいまなざしが全編を貫いており、物語に深みが生まれてます。
『テンペスト』級の読み応えだぞ♪