ウチの施設では、新たに生活介護事業を始め、同時に就労移行支援事業を廃止しました。
これによって、多機能型であるウチは、就労継続支援B型と生活介護の2事業を行なう施設となりました。
背景にあったのは、利用者さんたちの介護ニーズの高まりです。
ウチは無認可の通所授産施設として始まっており、小さいながらも歴史は30年以上。初期のころから利用している人たちは、もう中高年の域に入っています。
半面、就労ニーズが低下してもいました。
ウチにかよう利用者さんたちは、「この場所で頑張り続けたい」と望む人ばかり。就労移行支援は何年も“開店休業”に近い状態でした。
上記の事情から、多機能事業の改編を決断したのですが。
生活介護を立ち上げるべきなのか…との迷いはありました。生活介護の事業所は地元に複数存在しているので、そちらへ移行してもらう方が、手段としては円滑なのです。
老いていく利用者さんに合わせ
ところが、障害のある人たちの多くは、安定を好み、変化を苦手とします。
何十年もかよってきた施設を、年配になって離れなければならない…その甚大なストレスを、ウチとしては無視も放置もできませんでした。
10年ほど前に書いた記事「『できる/できない』と『要/不要』」。
この中で、私は「自施設での支援が及ばなくても、地域にある他施設で支援できるならば、連携してそちらに任せる方が“健全”でしょう。」と述べています。
これと見定めた事業を、磨き上げていこう…10年前は、そう考えていました。
しかし、理念としては安直すぎたようです。施設を利用している人たちの意向、その重要性にまで思い至ることが、私にはできていませんでした。
老いていく利用者さんに合わせ、新たに始めた生活介護事業。
利用者さんたちの存在は、施設の大きな部分を担っており、時には運営をも左右する。…分かっていたつもりですが、近年、改めて実感するようになりました。
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