鹿児島県北部の阿久根市へ、輪行に出掛けました。
今回は、ブロンプトン仲間であるTさんとの2人旅。旅慣れているTさんが、行程を組み立てて下さいました。
午前8時20分。八代市の肥薩おれんじ鉄道八代駅で、Tさんと待ち合わせ。ここが始発です。
駅の窓口で「おれんじ1日フリー切符」を買っておきます。同鉄道の八代~川内が1日乗り放題になるという、お得な切符なのです。
JRで来たTさんと合流しました。JR八代駅は、肥薩おれんじ鉄道の八代駅に隣接しているのです。
Tさんのブロンプトンは、クラウドブルーのS3L。外装3速に改造してあってうらやましい。
8時55分に出発。列車は鹿児島方面へ南下していきます。
肥後二見駅を過ぎたあたりから、線路は不知火海沿岸へ。穏やかな海の向こう、大陸からの黄砂にかすんで、天草の島々がボンヤリと見えました。
2時間ほど列車に揺られ、鹿児島県の薩摩大川駅で下車。駅前でブロンプトンを展開し、漕ぎ出しました。
短い坂を上がると、そこは国道3号線。すぐ前方に、「道の駅 阿久根」が見えます。
シルバーウィークの連休中とあって、道の駅は観光客でにぎやか。駐車場からは、東シナ海の水平線が一望できました。
海岸線をゆるやかに蛇行する国道3号線を北上します。
さわやかな海風に吹かれながら、しばし無心になってペダルを漕ぎ続けました。
道路が内陸に差し掛かったあたりで、先行するTさんが左折。続いて私も、細い道へ入っていきます。
「七不思議」の洞窟へ
Tさんは今回、輪行の計画に景勝地を加えていました。「佐潟の洞窟」という場所です。
細い道は、住宅地や雑木林を抜け、ひと気のない寂しい土地へ。観光地に向かっているようには思えません。
気が付けば、道の左右に海が迫っています。岬のような細長い土地にいるようです。
コンクリート舗装の小道をさらに進んでいくと、やがて洞窟の案内板が。
私たちはブロンプトンを降り、海沿いの洞窟に近寄ってみました。
切り立った岩肌に、えぐられたような空間が開き、奥へと続いています。高さは5メートルほどでしょうか。覗いてみたものの、内部は暗くてよく分かりません。踏み込んでみたかったものの、足場が悪そうだったので断念しました。
トンネル状の洞窟もありました。こちらは高さ3メートル程度。入ってみたところ、狭い砂浜に抜けていました。
この洞窟は、海水の侵食により、長い歳月をかけて形成されたそうです。設置されていた説明板に、そう書いてありました。
地元では古来、海の向こうの甑島まで通じていると信じられ、「阿久根市の七不思議」に数えられるとのこと。他の6つは何なのか…阿久根市には不思議が多いようですね。
洞窟見物を終え、私たちは国道3号線に戻りました。
道路の左右に、商店やオフィスビルらしい建物が増えてきました。阿久根市の中心部に入ったようです。
多くの商店にシャッターが下り、通りは閑散としています。地方都市に見られる中心街の衰退は、阿久根市でも進行しているのでしょう。
イワシビルでひと休み
3階建てのビルディングの前で、私たちはブロンプトンを降りました。
ここは「イワシビル」という、地元の水産加工会社がリノベーションした複合ビル。ユニークな観光スポットとして知られています。
イワシビルの1階はカフェと土産物店、2階は水産加工場で、3階がホステルになっています。
私たちは1階のカフェで喉をうるおし、さまざまな土産物を物色しました。洗練されたセレクトショップのような雰囲気です。
オイル漬けにしたイワシの丸干しや、焼きエビ入りのラー油などを購入。どれもパッケージがスタイリッシュで、お土産として喜ばれそう。
名物というたい焼きをテイクアウトし、帰宅後にオーブントースターで温め直して食べました。栗あんがギッシリ詰まっていておいしかった。
イワシビルを後に、しばらく市街地を走って阿久根駅に到着。
明治期の洋館を思わせる駅舎が目を引きます。JR九州の豪華観光列車「ななつ星」などのデザインで知られる、水戸岡鋭治氏が手掛けた建物とのこと。
駅構内には本棚が立ち並び、さまざまな書籍が詰まっています。まるで図書館の風情。
待合室にはアンティーク風のソファやアップライトピアノが置かれ、こちらはホテルのラウンジみたいです。パイプオルガン奏者でもあるTさんが、待ち時間にピアノ演奏を披露してくれました。
阿久根駅にはレストランが併設されており、そこで昼食にするはずだったのですが、到着した午後1時半ごろにはもう閉店していました。食材が尽きてしまった模様。
私たちは急きょ、駅近くのカフェに飛び込んで食事をしました。阿久根駅のレストランを利用する際は、注意が必要でしょう。
午後3時4分の列車に乗って八代駅へ。そこで解散となりました。Tさんに感謝です。
秋晴れに恵まれた、楽しい輪行でした。