熊本県を代表する観光地・阿蘇山に輪行しました。
と言っても、山道を漕ぎ上ったりしたわけではありません。私の2段変速のブロンプトン(S2L-X)による登攀は、非常に困難ですし、レジャーとしては無茶です。
ブロンプトンは輪行に適しています。
阿蘇の山上までバスで行き、そこで自転車を展開して、山道を下る。……というラクな計画を、私は立てました。
当日の朝、九州の山間部を横断するJR豊肥線の肥後大津駅で、輪行仲間のMさんと落ち合いました。
私は列車を乗り継いで到着。本格的にサイクルスポーツを楽しんでいるMさんは、GIANTの小径車で、自宅から20kmほど走ってきたそうです。
午前8時57分、黄色いワンマン列車で出発。阿蘇のカルデラを形成する外輪山を越え、50分ほど列車に揺られて、JR阿蘇駅に着きました。
休日とあって、駅構内は観光客らしい人々でにぎわっています。
駅前にあるバス停留所で、阿蘇火口線のバスに乗車。私たちの自転車は、折りたたみや分解をして、袋に収納しています。バスのトランクルームに入れてもらうことができました。
山上までバスで“登山”
バスは阿蘇登山道路を上り、35分ほどかけて阿蘇山上ターミナルに着きました。ここは火口観光の拠点施設で、土産物店や飲食店、火口行きのシャトルバス乗り場などが集まっています。
バスから下ろした自転車に乗り、私たちは阿蘇山上ターミナルを出ました。火口へ向かう道路は、途中に料金所が設けられていますが、自転車は無料です。
坂道をグイグイ上っていくMさん。片や、私は道半ばで息切れしてしまい、ブロンプトンを押しながら歩くことに。自転車の性能だけでなく、日常的な運動不足がわざわいしたことは明白です。
坂道を上りきって、午前11時ごろ、中岳火口に到着。
山上には硫黄っぽい異臭が漂っていました。火山ガス注意報の警告ランプが設置されており、この日は“黄信号”が点灯。体調不良の人に注意をうながす警告です。
私たちは自転車を降り、徒歩で噴火口の縁へ。
火口は広大なすり鉢型で、中心部から噴煙がモウモウと立ち上っています。薄暗い曇天模様の天候も手伝い、地獄の入り口を思わせる、異様な迫力がありました。
火口見物を終え、山頂から下ります。
ペダルを漕がなくても、ブロンプトンはスイスイ走ってくれます。先ほどまで息切れしていたのがウソみたいで、実に爽快。
前方に草千里(草千里ヶ浜)が見えてきました。活火山を背景に、草原に牛が放牧されている、人気の景勝地です。
草千里に面した駐車場には、博物館や土産物店、レストランなどが建ち並んでいます。前後の道路は大渋滞で、駐車場も大混雑。
時刻は正午をやや過ぎたあたり。
私たちは「WELCOME RESTAURANT」という奇妙な店でカレーを食べました。
草千里を後に、山肌をうねる阿蘇登山道路を走ります。空が晴れるにつれ、爽快感は急上昇。
ロードバイクなどで阿蘇を何度も訪れているMさんが、ツーリングでの撮影スポットを教えてくれました。絵葉書みたいにきれいな風景写真が撮れました。
植生が草原から木立に変わってきたあたりで、私たちは阿蘇登山道路を外れました。Mさんが先導し、阿蘇市の中心である一の宮町へと下っていきます。
午後1時ごろ。気が付くと、目の前に阿蘇神社の鳥居が。
熊本地震によって拝殿や楼門が倒壊してしまった阿蘇神社ですが、その後、新たな拝殿が完成し、楼門も再建されつつあります。私たちは参拝の列に並び、神前で手を合わせました。
阿蘇神社参道のサイクルラックに自転車を預け、参拝客らでにぎわう門前町を散策。ここで、Mさんお勧めの馬肉入りコロッケを食べました。揚げたて熱々でおいしかった。
春の風物詩「逆さ阿蘇」
門前町を出た私たちは、阿蘇谷というカルデラ盆地の平野部を走っていきます。
道路の左右に水田が拡がり、田植えを前に水が張られています。水面に阿蘇の山々が映り込んでいて、これは「逆さ阿蘇」「逆さ涅槃」などと呼ばれる、春の風物詩。眼福でした。
JR阿蘇駅に戻りました。帰りの列車は15時16分。
ホームで列車を待つ間、Mさんとソフトクリームを食べました。阿蘇名物のジャージー牛乳が使われており、なかなかに濃厚。疲れた身体に染みました。
スケジュールを組んでもらったり、道案内をしてもらったり、Mさんにはお世話になりました。おかげで楽しい輪行となりました。