いつも飄々とした態度で仕事に臨む、ベテランの社会福祉士を知っています。
相談支援では、わずかな間に相手の信頼を得て、深い事情を聴取。アセスメント後の対応は迅速です。その仕事ぶりには感心するばかり。
そこで、当人に仕事のコツなどを訊いてみたところ、首をひねって「何とも言いようがない」「自分でも分からない」。
多分に謙遜も入っているようですが、“名人芸”の域に達した技術は、私のような未熟者には伝達できないものなのでしょう。
「技術」には3種類あるそうです。
英語では「アート(art)」「スキル(skill)」「テクニック(technique)」。日本語を当てると、それぞれ「技芸」「技能」「技法」。
技術を理論化することの難しさ
社会福祉士の専門技術、これは何に当たるのか?
普通に考えるならば、スキルに相当するはず。福祉専門職としての、伝達可能な技術です。
ところが、実際はアートに近い模様。
経験や才能、勘に頼るところが少なくないため、人材育成において課題となっているそうです。
社会福祉士の研修会に参加した時、技術を理論化することの難しさが挙げられていました。
専門性のある技術が確立されるには、科学性や普遍性、客観性などが求められます。学術的な研究が進んでいるソーシャルワークですが、“科学”としては発展途上なのかも知れません。
名人芸を身に付けることはできないまでも、身に付けたいと思って努力をすれば、やがて自分なりの仕事ができるようになるのではないか…個人的にはそう考えています。
科学的な考えではないのですが。
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