フランシス・ハーディングのファンタジー。
舞台は第一次大戦後のイギリス。
冒頭、主人公の少女が記憶喪失の状態で目覚める。池でおぼれかけたらしい。記憶は徐々によみがえってくるけど、イマイチ確信が持てない。
裕福な家庭で、両親があれこれ世話を焼いてくれるのに、居心地は悪い。
強い飢餓感にさいなまれたり、妹から「偽者」となじられたり…自分はどうなったのか?
戦死したはずの兄から手紙が届いたり、自分の日記が誰かに破り取られてたり…この家はどうなってるのか?
物語の前半は、何とも不可解で不気味。それが後半、オドロキの大転換を経て、事態が大きく動きだす。
前半のドキドキする緊迫感から、後半のワクワクする疾走感へと、コントラストが利いてるぞ。
主人公の造形は画期的だし、“異界”の描写は刺激的だし、読みどころがたくさん。
そして何より、自分の哀しい運命を知ってなお、信念に従って突き進もうとする、主人公の健気さがイイのです♪