教育制度の“不都合な真実”が分かりやすく書いてある本。
巷にはびこる「中卒より高卒・高卒より大卒。同じ高校、大学だったら偏差値が高い学校に進学することが将来の豊かさを約束する」という学歴モデルの、現状との乖離や、人生を狂わせる危険性などを、数々のデータや事例でもって解説。
奨学金を使って大学へ進学することは、不動産投資で高収入を目論むことと、構造的には同じらしいぞ。
そこで著者は、学歴モデルの中で競争するのではなく、将来どんな生活をしてることが自分にとっての幸せなのかを考え、「自分独自のゴール」を明確にしておくことが大切…と主張する。
一方で、子供たちを地域の相互扶助ネットワークに組み入れるインクルーシブな枠組みとして、著者は“学校”の重要性を唱えてる。この手の本としては、そこが特徴的。
子供たちの将来を守るカギは、ローカルな助け合いにあるらしい。
終章で著者が提示してる、勉強ができる子もできない子も、障害のある子もない子も、ひとつの教室で自然に仲良くしてるビジョンや、社会に出ていった後でもクラスメイトとして助け合えてるビジョンは、なかなかに感動的です。あくまでも理想だけど。