松岡正剛による歴史の本。2巻(東巻・西巻)14講の講義スタイル。
話し言葉で書かれてるので、比較的読みやすい。半面、詰め込まれてる知識が膨大で、何とも目まぐるしい。
イギリスで流行したコーヒーハウスから、雑誌や政党や保険会社や広告が生まれたとか。ナポレオンの登場によって、ヨーロッパ各国が“列強”として覇権を争うようになったとか。ダーウィンの進化論の影響で、「社会だってより良くなるはず」と信じられるようになったとか。資本主義にはいろんな形態がありすぎる(と見られてる)とか。やっぱ宮崎滔天はスゲー…などなど、刺激的な内容ばかり。
各トピックの詳細については参考文献が挙げてあるので、ブックガイド的な側面も。
学校で教わる歴史には、日本史と世界史がある。さらに世界史は、東洋史と西洋史に大別されてる。
だけど、同じ地球上にあるんだから当然、日本の歴史は海外の影響抜きには語れない。
東洋も西洋も影響し合ってきたし、中東やアフリカだって絡んでる。
それに、歴史を動かしてきたのは、権力者の言動に限らず、ある文化の伝播とか、ある思想の普及という事例も少なくない。
世界各地で生じたモノゴトが、互いに影響し合いながら、現代社会を形成してる。
この巨大で複雑な流れを読み解くため、著者は「インタースコア」を提唱。
さまざまなモノゴトを“編集”して、新たな見方や関係性を創出することらしい。大いに感心。
とは言え、たった3つの点から“顔”を見出してしまう、そんな危なっかしさが人間にはある。
強引な“トンデモ仮説”に陥らないためにも、教養はしっかり身に着けておかねば…とも思いました♪