東京藝術大学についてのルポルタージュ。
著者は作家で、妻が現役の藝大生であることが、執筆の動機になったそうな。
学内のさまざまな学部を見て回りながら、“学業”に励んでる学生たちにインタビュー。
奇妙とも思えるモノゴトへ真面目に取り組む藝大生たちも、そんな相手をできるだけ前向きに理解しようとする著者も、ともに好印象。書名ほどのブッ飛んだ内容ではありません。
数々のエピソードが「藝大ならでは」なのか「美大・音大あるある」なのか、そこはイマイチ分からない。
とは言え、得意なことや好きなこと、やりたくてたまらないことに打ち込んでる学生たちのシアワセが、読んでいてジンワリ伝わってくる。
才能に恵まれて努力もできる、そんな若者たちが全国から集まり、日々切磋琢磨してる東京藝大。
それでも、社会へ大きく羽ばたけるとは限らない。卒業生の半数以上が「進路未定」とされ、多くは行方不明になってしまうそうな。
象徴的なのが、学長の言葉「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎」。
日本の文化を牽引する逸材として大成するのか、その逸材を育む“コヤシ”に終わるのか…シビアにして極端な選択を迫る大学らしいぞw