天竺堂の本棚小説

シュルレアリスムの冒険譚 『類推の山』

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類推に始まり、類推に終わる? 『類推の山』

 フランスのシュルレアリスム文学。

 エベレストよりもはるかに高く、天上にまでそびえてるという“類推の山”。
 あらゆる山々の存在、地球全体のバランス、古来の神話や伝承などを参考に、「この世のどこかに存在しているはず」と類推されるそうな。

 この山の存在を確信した人びとが、登山隊を組織。ヨット「不可能号」で大海へ乗り出す。
 あれこれと類推を進めつつ航海していくと、海の彼方に巨大な山塊が出現。一行は本当に“類推の山”にたどり着いてしまう。

 どんな山なのか?
 頂上に待ち受けるものは?

 一行が山を登り始めたあたりで、作者が病死して絶筆に。
 この先の話は、読者が類推するしかありません。

 いささか残念。ではあるけど、ロマンと寓意にあふれるこの物語には、ふさわしい幕切れなのかもw

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