商品やサービスを提供する際、しばしば「差別化をしよう」とか言う。競合との差別化ができれば、値下げ競争におちいらずに済むから。
ところが、そのあたりに資本主義の大きな問題があると著者は述べる。
ライバルのいない状態を目指すことは、マーケティングでは当たり前だから、「どこが問題?」と首をかしげたくなる。
これに著者は、本書で「独占状態をつくる上では、分断があるほうが望ましい。市場が統合されず細分化されていた方が独占状態をつくり出しやすいからです」「企業は、格差と分断の間隙をついて鞘抜きをするのです。資本主義にとって、格差と分断こそが利潤の源泉です」「資本主義は、格差と分断を原動力に、それを拡大再生産しながら成長し続けるシステムなのです」などと主張。
マーケティングを求める資本主義という仕組み自体が、格差と分断を生じさせると指摘する。
この社会が資本主義で動いてるうちは、格差も分断も解消しないらしい。やっぱ問題かも。
そこで著者は、恵み豊かな日本古来の自然風土(山水郷)に着目、これをセーフティーネットやベージックインカムに見立てたその上に、新たな社会、持続可能なコミュニティの構築を提唱する。
併せて、地方のエンパワメント事例なども紹介しており、『里山資本主義』に通じるところも少なくない。
資本主義を追求したってシアワセにはなれないけど、“次”をどうすべきかはまだアレコレ模索中…そんな一冊♪