ジーン・ウルフによる、初期の長編小説。
アメリカの田舎町に住んでる男性の、自伝的なモノローグ。なんだけど、何ともあやふやで不可解。
エピソードの時系列が、よく分からない。主人公が生きてるのか死んでるのかも、よく分からない。どこが事実として信じられ、どこが嘘や妄想として疑われるのかも、よく分からない。
見えないところで何やらスリリングな事態が進行してるみたいなんだけど、そのあたりも判然としない。
結局、分からないことだらけのまま、読み終えることになる。
ところが、読後に漂う不穏な気配とか、妙に印象的だった情景、つじつまが合わない箇所…それらが気になって、やがてまた本を手に取ってしまうのだ。
そして再読すると、読み飛ばしてたところに、思わぬ発見があったりする。
さらに再々読すると、書かれてることの理解が進み、物語が異なる様相を見せてくる。
多くの読者はそうだろうし、私もそうだった。
さまざまな謎を秘め、いくらでも深読みができる。
スルメみたいに何度でも楽しめる、興趣が尽きない物語です♪