豪雨水害に遭った被災地へ、所属社会福祉士会の派遣員として先日、災害支援に入りました。
自らの微力を痛感させられたものの、得難い経験でした。
派遣に当たり、事前にオリエンテーションを受けました。
経験豊富な先輩たちによる、災害支援の心構えや注意点、被災地の状況などについての講義でした。
災害支援が初めてだったせいか、私の不勉強もあってか、講義ではこれまで学んだことのない知見に触れました。
それが“過覚醒”や“受援力”です。
「支援に入る際は、自分が過覚醒状態にないか注意して下さい」
過覚醒とは、自分のヤル気が不必要なほど前面に出てしまうこと。講義では「押せ押せムード」とも表現されました。
被災地に入ったばかりの支援者の多くは、「力になりたい」と張り切り、活動的になっています。これが無自覚である時、しばしば過覚醒状態に陥ります。
過覚醒にある支援者は「何でもやりますよ」「遠慮なく指示して下さい」などと言います。「こうしたらどうでしょう?」などと前向きな提案を行なうこともあります。
ところが、相手の方は被災のショックに打ちひしがれ、支援を求めたり、提案を検討したりする気力を喪失している場合が少なくないそうです。
自発的に動くことも必要
「助けを受け入れるには、実はパワーが要ります。これを受援力と呼びます。相手の受援力が低下していないか、常に意識しましょう」
他人の世話になる気苦労、助けてほしい事柄を考えること、お礼まで含めた人付き合い…これらに要するパワーが受援力です。
受援力が低下している被災者に、過覚醒にある支援者が当たると、不幸な結果につながりかねません。
被災者にプレッシャーを与え、萎縮させたり、傷付けたりしてしまう恐れがあると聞きました。最悪の場合、不信感を抱かれ、拒絶や反発を招くことも。
「被災地の状況をアセスメントして、自発的に動くことも大切です。助けるべき被災者に負担をかけないよう、配慮をお願いします」
支援者が過覚醒状態で現場に入る…これは日常の業務でも起こり得るでしょう。振り返って私自身、数多く思い当たりました。
日常であっても、非日常であっても、支援の本質は共通するようです。
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