人生も半世紀を過ぎたというのに、過去にしでかしたアレコレの思い出に、しばしば悩まされる。
もう関係者は忘れていて、ウジウジこだわってるのは私だけなんだろうけど、どうにも頭から離れない。このまま長期記憶として脳内に定着してしまったら、老後も延々と悩み続けるのでは……なんて考えると恐ろしい。
悩ましい記憶の多くは20代、それも大学時代に集中してる。
浪人まで含めた約5年間、私は狭い世界で、無為な日々を悶々と過ごしてた。自意識過剰にしてバカ丸出し、下劣にして見苦しい。
思い返すたび、アフリカ象に踏み殺されたくなる。墓穴を掘って埋まりたくなる。
そんな恥ずかしさとともに、「こうしとけば良かった」「ああ言うべきだった」「どうしてそっちを選ばなかったのか?」なんて後悔にさいなまれる。
あったかも知れない別の人生を想像し、現実との差異に愕然としたりする。すべては自分勝手な妄想なんだけど。
本書の舞台は京都だし四畳半だし、私の大学時代とは異なる。なのに、若かったころの空気感や心情が、読んでるうちにジンワリよみがえってくる。過去の記憶に生々しさが加わる。
何かと困ってしまう物語でしたw