J・G・バラードによる、純文学みたいなSF。
英ロンドンの郊外に建てられた、40階建て1000戸という巨大な分譲マンションが舞台。内部にはスーパーマーケットやプール、レストラン、学校などが整備されてる。
上階ほど高価なため、居住階がそのまま“階級”に。低層階には映像技師や旅客機乗務員などの技術系労働者たちが、中層階には医師や弁護士などの頭脳労働者たちが、高層階には企業経営者や芸能人などの富裕層が入居。
当初は各自が居住階=階級にふさわしい生活を送ってたんだけど、あるトラブルをきっかけに、上下階の間で衝突が発生。その暴力はエスカレートし、マンション全体へ波及する。
やがて住民たちは大小の徒党を組み、廊下や階段にバリケードを築いて、包丁とかゴルフクラブで殺し合うまでに。
こんな異常なマンションなのに、逃げ出す者はほとんどいない。
本能も欲望もさらけ出せる弱肉強食の空間に、住民たちは居心地の良さを感じてる模様。
何故にこうなってしまったのか…本書に明示はされてないけど、登場人物たちの丹念な心理描写を読んでると、何となく分かってくるような。
みんなヨクアツの中で暮らしてるのねw