アニメや特撮などのヒーロードラマに登場する悪役たち。ドラマを観るに、その大多数には「悪いことをしてる」との自覚がある模様。
だけど現実の、凶悪なテロ事件を起こした実行犯たちは、マスコミへ「これは聖戦なのだ」「相手は殺されて当然」などと主張する。悪いと思わないのか、思いたくないらしい。
私たちは「違法でも仕方がないんだ」「向こうだって良くないし」とか何とか自分に言い聞かせなきゃ、そうそう悪事はできない。
ということは逆に、心底「オレは正義だ」と思い込めたら、何だってできるのだろう。
本書では、“普通の人”が過激化し、テロ行為に至るメカニズムを考察。
近年増えてるという単独でのテロ実行犯たちは、私的な悩みとか社会的な怒りみたいなものを抱えていて、それを都合良く補強してくれる言説をSNSなどから取り込みつつ肥大させる。そうして、自分が善/正義で相手は悪/不義という極端な思考にハマり、背中を押すような何らかのきっかけを得て、犯行に及ぶそうな。
この社会には、絶対的な悪はそんなにない代わり、個人的な善がたくさんあるのかも知れない。
あるいは、絶対的な善もなくて、私たちの都合に応じた善が随時ポコポコ生まれてくるとか…?