「社会福祉士になったら、高齢者とか障害者とか、福祉のいろんな分野に通じていなければならないのでしょうか?」
ウチの施設に来ていた実習生から、そう訊ねられたことがあります。
大学や専門学校などから、福祉専門職を目指して実習に来ている人材たち。
終業時に実習を振り返ってもらう機会を設けており、そこで飛び出した質問でした。
素朴な問いではありますが、福祉についての勉強をし始めたころの私も、同じような疑問を抱いていました。
最適な支援を得られるように手配する
福祉の分野は、高齢者や障害者、児童、人権擁護など。専門職としての活動領域は、福祉施設や病院、行政機関、学校、刑務所など。社会福祉士の研修科目には、事業体を対象にした「福祉経営」なども入っています。
業務独占資格ではありませんし、職業基盤も堅固とは言えないものの、社会福祉士には広範囲にわたる専門性が求められるのです。
実習生の問いに、施設に勤務しているベテラン社会福祉士が「あらゆる方面に精通しているに越したことはありませんが、現実的には難しい。それでも、自分以上に詳しい人材へ、協力を求めることはできます」と答えてくれました。「最適な支援を得られるように手配することが、社会福祉士の実際的な仕事かも知れませんね」
これに続けて、私は「少なくとも、他の社会福祉士から頼りにしてもらえる程度には、何らかの専門性を身に着けておくべきでしょう」と実習生に言いました。
どんなに優秀であっても、個人でできることには限界があります。
大きな課題にも、困難な事例にも、協力し合うことで対処できる…そんな関係・姿勢を大切にしたいものです。
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