東郷隆による、キレまくってるスパイ(ギャグ?)小説。
「殺人許可証を持つ丁稚」「世界で最も危険な丁稚」などと呼ばれる定吉七番が主人公。
大阪商工会議所秘密会所に所属し、関西経済界の利権を守る敏腕情報部員。丁稚の衣装に身を固め、武器として柳刃包丁「富士見西行」を愛用。カッコイイんだか何なんだか分からない。
これまで『定吉七は丁稚の番号』『ロッポンギから愛をこめて』『角のロワイヤル』『ゴールドういろう』『太閤殿下の定吉七番』と刊行されてきたシリーズの、本書は長いブランクを経ての続編。
25年前、アルプスでの死闘によってクレバスに消えた伝説の丁稚が、現代に蘇り…という「オースティン・パワーズ」っぽい話。「定吉七番」の方が先だけどね。
関西などのローカルネタ、軍事ネタ、アニメネタ、国際情勢ネタ、吉本新喜劇ネタ、歴史ネタなどなど、いろんなネタを駆使したギャグの乱れ撃ち。手数の多さに加え、ひとつひとつが濃くて深い。読み応え満点。
今戸のおっちゃんが唐突に口ずさむ春歌、これにはどーしよーもなく笑ってしまった。もう笑うしかないのです。
このシリーズ、アニメ化はできそうだけど、芦屋雁之助が生きてる間に実写化してほしかった…そう思う読者は私だけではないはず。観たかった。
次回作として『黄金ソロバンを持つ旦那』が予告されてる。
出版されてないエピソードもあることだし、ホントに続きが出ないかなぁ…?