
子供が親よりも先に死んでしまう“逆縁”は、重い親不孝とされる。
立派な偉人に育ってくれそうにはないし、むしろ世間に迷惑をかける愚物で終わるかも知れない。それでも、その子の死を見届ける哀しみに比べれば、ずっとマシだと。
ところで私は、子供に先立たれた親御さんを何人か知っている。
どの人も、癒えない苦悩を抱え続けてる。一方で、どの人も「子供がいなければよかった」とはまったく思ってない。
“生まれてくれた”という親孝行は、逆縁の親不孝をも上回る。
…なんてことを、表題作を読みながら考えたり。
このテッド・チャンのSF短編集は、8篇みんな傑作です♪