スティーブン・ミルハウザーの中編集。
全3話いずれも、男女の愛憎っつーか、浮気に絡んだ三角・四角関係の物語。
ニンゲンは愚かで弱いから、惨めな自分に真正面から向き合うなんて、そうそうできはしない。
裏切られた自分の惨めさを認めたくないあまり、自尊心が傷つかずに済む“嘘”を捏造し、それを必死で信じ込もうとしたり。
心の奥底では「もうダメだ」と分かってるのに、表面上は「まだ大丈夫」みたいに振る舞ったり。
痛々しい男女の痛々しい言動を、3話3様の切り口でもって巧みに描いてます。
表題作の、木に登らなきゃならない/登らずにはいられない王様とか、滑稽にも見えるんだけど、ホントに痛々しくてツラいものがあるぞw