本書の主人公には、特殊な弟がいる。
ちなみに私にも、特殊な弟がいる。
私の弟はダウン症。偶発的な染色体異常で、700分の1ほどの確率で発症するらしい。ダウン症は知的障害などを伴うため、クジなら“ハズレ”に相当するかも知れない。
実際、弟が生まれたことで、両親は苦労した。兄の私も、余計な葛藤を抱えて成長する羽目になった。弟も「何故にオレは障害を抱えてるのか?」と当人なりに悩んだ模様。
とは言え、「弟は生まれるべきではなかったのか?」「弟の存在は“悪”か?」なんて訊かれたら、私は「そんなことはない」ときっぱり答えられる。理由だって挙げられる。
そこらあたりの理不尽は、すでに家族で克服しているのだ。決して結束の堅い家族とは言えないものの、みんなで乗り越えてきたことは間違いない。
こんな私ではあるけれど、もしも「自分の子供がダウン症で生まれると分かっていたら、受け入れられるか?」と問われたら正直、悩んでしまいそうだ。
否応なく降りかかってきたことなら、腹をくくって応じるだけ。むしろ“選べる”方が怖く、深刻だったりする。
だからこそ、主人公の父親は傑物だし、見抜いた母親も凄いのです♪