奇妙な味わいのSF短編集。
出てくるのは、頭髪を分け入った先に現れるジャングルとか、猫を延々とキャッチボールする仕事とか、オムツの中に小鳥やネズミをヒリ出す赤ん坊とか、シュールなモノゴトばかり。
それらのモチーフでもって、私たち誰もが身近に経験するような、人間関係の悲喜こもごもが描かれる。
言葉で比喩的に表現されるようなモノゴトを、あえて具体的に現出させる…そんな作風らしい。
こうして、日常と非日常がシームレスに混ざり合った、不思議な物語が展開する。
むしろ純文学に近いのかも。落語的とも言えそう。
物語がズパッと終わってしまう、“投げっぱなしジャーマン”みたいな幕切れも特徴と見たぞ。オチも何もないんだけど、それこそが余韻につながってるカンジ。
個人的には、最後に収録されてる表題作が一番気に入りました♪