「みんなの学校」という映画を観ました。大阪市にある公立「大空小学校」の日々を撮ったドキュメンタリーです。
全校を挙げて“不登校ゼロ”に取り組みつつ、障害のある児童も、家庭的な問題を抱える児童も、みんな分けへだてなく受け入れるという、ユニークな方針。
ぶつかり合いながら成長していく児童たちの姿には、素直に感動させられました。
半面、校長先生の信念やリーダーシップ、教職員の連携体制、地域住民との協力関係、インクルージョン教育の在り方など、福祉専門職として学ぶところの多い、示唆に富んだ映画でもありました。
印象的だったエピソードのひとつをご紹介します。
すぐ友達を殴ってしまう児童が、反省して「もう暴力は振るわない」旨の手紙を書き、校長先生に手渡しました。そして後日、この児童はまた乱暴を働いてしまいます。
これに対し、校長先生は「手紙を書いた、この瞬間の気持ちは本当」「瞬間と瞬間をつなげていくことが大切」との発言をするのです。
しばしば一喜一憂
ウチは障害のある人たちがかよう就労支援施設です。
「ここで一番の働き手になる」と宣言し、その翌日には施設を休んでしまう人がいます。「明日も頑張ります」と笑顔で帰宅し、数時間後に「辞めたくなりました」と電話してくる人もいます。
これらの利用者さんたちは、ウソをついたのでしょうか? 出まかせを言ったのでしょうか?
利用者さんたちが前向きな発言をした、瞬間の気持ち。
それを信じることができなければ、私たち支援者にとって、利用者さんは“ウソつき”であり“いい加減な相手”ということになるでしょう。
利用者さんたちの言動に、私たちはしばしば一喜一憂します。そして、落胆させられたり、疲弊させられたりすることも少なくないのですが。
もっと大らかに身構えて、“瞬間の気持ち”を信じながら、“瞬間と瞬間をつなげていくこと”へ意識を向けられるようになりたいものです。
photo credit: First Day of School. via photopin(license)