家庭の食事を20年にわたって調査してきた著者が、和食の現状を克明にリポート。
白ご飯は「味が無い」と敬遠、好物だけをガッツリ食べたがり、“一汁三菜”や“さしすせそ”の意味を知らない。食卓からは箸が消えつつあり、何でも一緒に盛れるワンプレートディッシュが普及、汁物にはマグカップが使われる。
資料として添付されてる大量の食卓写真は、贅沢だったり貧相だったり、チグハグだったり投げやりだったり。
これらを通して分かることは「家庭において和食は絶滅しつつある」。
現状をただ嘆くのではなく、著者は「ワケがある」として客観的に分析する。
和食が“絶滅危惧種”となった背景には、共働き世帯の増加や、嗜好の多様化、これらに応じた産業側のマーケティングなどがある。さまざまな事象が影響し合った結果。
確かに残念ではあるけれど、良し悪しを問うたりするのは筋違いだろう。
この先、家庭での和食は、簡便にアレンジされたものか、趣味的に楽しむものだけが残りそう。他は“専門業者”に頼ることになるんじゃなかろうか。
和食という日本文化は、和服と同じ道をたどりそうな気がします。